第85回日本産業衛生学会の開催にあたって

企画運営委員長 小林章雄(愛知医科大学医学部 教授)

2012年(平成24年)5月30日(水)から6月2日(土)にかけて、名古屋市において第85回日本産業衛生学会を開催させていただくこととなりました。皆様に一言ご挨拶を申し上げます。
東海地方には、製造業をはじめとして我が国の経済をけん引する基幹産業が数多く集積しております。それに呼応する形で、早くから多彩な産業保健活動が展開され、学術および実践活動の深化と交流を目的とした地方会活動が大変活発に行われてまいりました。このたび、この地に全国から皆様をお迎えし、さまざまな分野における課題について深く討議していただく機会を与えられましたことは、この上ない喜びであり、関係者一同、本学会の充実した開催に向けて力を合わせて準備をすすめているところです。
本学会のテーマを「希望!に満ちた労働と生活をサポートするために」とさせていただきました。世界経済と連動した厳しい競争と絶えざる労働環境の激変にさらされる中、また、未曽有の震災による混乱からの復興が進む中、働く人が、希望をもって、いきいきと働き、暮らしていくために、産業衛生・産業保健は何ができるのでしょうか?またそれを取り巻く、我が国の労働や雇用のあり方、生活を支える仕組みはいかにあるべきなのでしょうか?ヴィクトール・E・フランクルは、著書「夜と霧」の中で、逆説的にではありますが、きわめて厳しい状況にあっても、希望!こそが生命を支えるものであることを明示しております。本学会が、これまでの産業衛生・産業保健のそれぞれの専門領域の枠を多少踏み越えてでも、働く人の心身の健康の源泉と、それにつながる取り組みについて縦横に語り合う場になってほしいと願っております。
学会は名古屋市内にあります名古屋国際会議場にて開催いたします。メインシンポジウムを始め、特別講演、基調講演、シンポジウム、教育講演などの特別プログラムと、示説、一般口演から構成いたします。多くの皆様が本学会へ御参加くださいますことを心より祈念しております。